<   2007年 11月 ( 1 )   > この月の画像一覧

犯罪の6割は再犯者によるもの,か?

今年の『犯罪白書』が公表されたようで,近日中にその現物を入手できるだろうから,それまで待ってもよいようなものなのだが──
各紙が伝えるところでは,今年の特集は「再犯者の実態と対策」のようだ。「犯罪の6割が再犯者によるもの」という見出しが躍っている。ちょっと読んでみると:
「犯罪者に占める再犯者の割合が約3割なのに、犯罪件数の約6割が再犯者によって行われていたことが分かり、再犯防止への取り組みの重要性を改めて浮き彫りにした。
 再犯者に関する調査は法務総合研究所が実施した。対象は1948年から06年9月までの刑法上の罪などの確定者100万人。このうち、再犯者が占める割合は28.9%だったが、この100万人が犯した犯罪約168万件について見ると、57.7%が再犯者によるものだった。」(讀賣新聞)
 再犯者問題の重要性はつとに指摘されていることで,僕の理解では,わが国の犯罪情勢の安定をもたらしている要素の中でも大きな一つが,再犯者問題の緩和──それはそれで,さまざまな段階でのディヴァージョンのシステムによる,犯罪者の起訴率の低さや刑罰の軽さ,したがって拘禁刑の適用される割合の少なさなどの結果なのだが──にあるのだが,そのわが国でも,問題はなお深刻だということなのだろう。
 しかし,ここに挙げられている数字は何だかおかしい。その発生が知られた全犯罪を誰が犯したかを知る手立てはなく,検挙率はせいぜい30%程度(交通事犯を除いた刑法犯で)なのだから,どんな根拠で「犯罪の6割は再犯者によるもの」などといえるのだろうか。上の法務総合研究所の研究方法がそのとおりだとして,そこで窺われるのは,戦後のわが国において有罪が確定した合計100万人が犯した168万件の犯罪のうち,再犯者(100万人中の28万9千人)によるものが6割に近かったということに過ぎない。
 いずれにしても,白書あるいは警察庁の統計が手に入った段階で,正確な検討作業が必要だろう。
[PR]
by kriminalisto | 2007-11-07 22:21 | 日記・コラム・つぶやき