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技能水準の高さを試したか

 ネット上で行き当たった何とも不可解な事件──

 「埼玉県内の自動販売機から大量の偽千円札が見つかった事件で、県警捜査二課は9日、通貨偽造などの容疑で同県三郷市高州、無職二宮正容疑者(38)を逮捕した。
 調べでは、二宮容疑者は5-9月、自宅で本物の千円札の上下両端を切断し、パソコンで印刷した中央部分にテープで張り付け214枚を偽造。うち10枚を同県狭山市の自販機で使った疑い。
 偽造を認めているが、使用についてはあいまいな供述をしているという。埼玉県南部で5月以降、同様の偽千円札がほかに452枚見つかっており、同課は余罪を追及する。
 札の両端部分をセンサーで読み取る仕組みを悪用した手口だが、1枚偽造するために本物の札1枚が必要。残った中央部分を換金しなければメリットはないが、金融機関に持ち込まれたという情報はなく、同課は「目的が不明」としている。(共同通信 - 9月9日21時22分) 」

 脈絡なしに思い出すのだが、団藤先生の研究では、明治初年の犯罪激増の状況下でひときわ目立ったのは通貨偽造行為の横行だったとのこと。そこには、おそらく、紙幣という新しい形の通貨の登場があり、物珍しさとともに、印刷技術における官民の差の縮小があったのだろう。その伝で行けば、今日の通貨偽造の流行は、明らかに、パソコン、スキャナ、カラープリンターという技術手段の発達と、自販機に採用されている各種のセンサーの機能水準との競争、その格差の極限までの縮小にあることは明らかだ。
 それにしても、通貨偽造罪に関わってのいつもの感想なのだが、個人がこの犯罪を実行して莫大な利益を上げるなどということはありうるのだろうか。大概は、その準備の苦心惨憺におよそ引き合わないみみっちい利益しか上げていないように思うのだが。しかも我が刑法のこの種犯罪に対する厳罰(無期または3年以上の懲役:148条)がある。
 不思議だ。
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by kriminalisto | 2004-09-10 00:18