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不愉快な出来事

 ある国のある町の地下鉄駅での話である。

 二つの研究所で緊張した議論をした後、夕方からはホストの先生が自宅に招待してくれることになっていたので、一行4人は一旦ホテルに帰ることにした。
 広い通りのはるか前方には目印のオベリスクが立っているのが見えるのだが、かなり距離があるので、ここはやはりと地下鉄に乗ろうとしたのが間違いだった。二つの駅が連絡している駅の窓口で4人分のジェトンを買う際に胸ポケットから財布を出したことで彼らの注意を引いたのだろう。地下鉄に乗り込もうとしたとき、われわれの前の数名のコーカサス系の男たちが「間違えた」と叫びながら急に向き返り、われわれとぶつかる形になり降りていった。一体何の騒ぎだ、と動き出した車両の中で今の出来事を話し合いながら、ふと胸に手をやると── 財布をすられたことに気がついた。同行のもう一人も財布がないと言う。

 生涯初めての不快な事件。明らかに、組織された集団での職業的な犯行だろう。もう取り返すことなど不可能だし、警察に届けることも無意味だろう。いっぺんに気落ちし、どっと疲れが出た。ホテルから日本のカード会社の事故処理センターに連絡、カードを無効化して、あとは現金(ドルと現地通貨で数万円)の被害。
 だが、考えてみれば、暴力沙汰に巻き込まれたわけでも、これで人生が終わったわけでもない。パスポートも高額紙幣も別にして鞄の中にあり、旅行を続ける上での障害もない。気を取り直して、これもcriminologとしての実地体験ではないか、と自分を納得させたことだった。
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by kriminalisto | 2004-08-27 20:45

夏を送る

 今日は京都五山の送り火。京都では昔から、祇園祭の山鉾巡行からこの日までが一年のうち最も暑いといわれ、この日を境に夏はその勢いを失うのだとされる。
 だが今年はそれより先に、秋を体験することになりそうだ── あすから短期間だが北欧のニ都市へ出張。昨日の最高気温は21度、最低は8度とのこと。まったく現実感覚がないが、晩秋といったところか。
 いつものことながら、出発間際のこの気分。何でこんな出張を企画したんだろう、それにしても、こんな旅程を組んだのは誰だ、などと。
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by kriminalisto | 2004-08-16 23:36

責任を追及するということ

 思えばそれが僕の数多い欠点のうちでも大きい方のものだろう。僕は人の責任の追及を徹底することができない──
 いつでも、自分を相手の立場に置き換えてみて、相手の振る舞いの背後のさまざまな事情を推し量ってしまうのだ。同じような立場におかれて、同じような事情があったのであれば、自分だってそうしたかもしれない、仕方がないよ、と思ってしまう。あるいは、責めてみたところで何が変わるというのか、むしろこれ以上の事態の悪化を防ぐための方策を考えた方がよい、などと。多少の負担を僕個人かかぶることとなっても、とりあえずは対応策の方へと僕の頭は向かってしまう。
 しかし、これは単に気が弱いというようなことではなくて、やはり、無責任さの表れなのだろう。相手の引き起こした損失をきちんと評価せず、その失敗の原因を究明せず、相手の謝罪と再発防止の措置を求めないままに済ましてしまうというのは、結局は「いいかげん」に物事を済ませることなのだ。それはわかっているのだが。
 相手を責めない、それはいろいろと面倒だから、というのは、相手を非難するためにはきちんと事実を整理して原因を明らかにし、相手を「おそれいりました」といわせるためには「罪状」を切り分け、自分ならこうするという正しい代替策を提示する必要がある。要するに、相手より優れた者が、相手以上の問題処理能力ある者だけが、相手を非難でき、その責任を追及できるのではなかろうか、僕にはできそうにない、と思ってしまうのだ。
 では、責めないまでも怒れよ、といわれる。
 そうすべきなのだろう。だが僕は、むしろ諦めてしまう── これって、一種の「甘えの構造」なのだろうか。

 戦争責任から不貞、水道水「温泉」の告発まで、声高に責任追及と非難が飛び交う日に。
 
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by kriminalisto | 2004-08-15 20:27