来年度の学年暦を決める時期になって,今年もまたぞろ「15週問題」が吹き荒れた。
どこの大学も悩んでいるはずなのだが── 要するに大学における授業の質の問題であり,質を確保する全体としての授業時間の問題なのだ。2時間の授業を1コマとしてこれを15回で,専門科目では2単位,語学科目では1単位という「設置基準」の解釈を巡って,実際に15回の授業と1回の試験時間の配置を暦日に落とし込んだ提案に,猛然と異議が唱えられ,時には「当局による独断・押し付けである」との抗議が叫ばれる。 たしかに,「ハッピー・マンデー」のばら撒きや,複数大学を掛け持っている非常勤講師の不都合など,多くの困難を作り出している事情はあるのだが,しかし,教育というサービスの内容を惜しみ,いわば「上げ底」商品として提供することでお茶を濁そうという発想自体が情けないが,それを臆面も無くわめき立てることには,正直,理解ができない。それは大学の教員としての自身に対する背反行為ではないだろうか。 おそらく,近い将来には「2時間」問題が生じるだろう──現在はほとんど全ての大学で90分の授業を「設置基準」の2時間と見なしているが,そのような公認のごまかしがいつまで通用することか。外部からその是正を迫られたときの大騒ぎが,今から目に見えるような気がする。 それにつけても思い出すのは,われわれが大学に入った当時の時間割だ。朝8時から10時が第1限,10時から12時が第2限,1時間の昼休みがあって,授業は17時までだった。冬の朝の法経4番教室の寒かったこと,用務員が教室前方のだるまストーブに石炭を入れ,器用に火をつけていたことなど。 「大学の15分」という「慣習法」の説明を聴いたのも,2回生の4月,同じ法経4番教室での於保先生の民法総則の授業でだった。 ──すべてはあの「学園紛争」の以前のことである。
by kriminalisto
| 2007-10-28 00:36
| 日記・コラム・つぶやき
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