それでも季節は

 なかなか理解してくれない学生に事後強盗と居直り強盗との違いを説明していて,最後に気づかされたのは,相手が「居直り」の意味を知らないということだった。「それって,逆ギレのことですか?」って,君......

 気がつけば5月も終わりで,入梅間近かとなってしまった。4月と5月,本当に忙しかった。例年のことながら,授業準備と学生の指導で週の大半の時間をとられ,事務仕事その他に残りの時間をすべてあてても,結局,週末には不機嫌な気分だけが残るようなことの繰り返し。慢性的な不安や焦燥感がつきまとう。
 
 この間に,思いがけず恩師の奥さんが亡くなるということがあり,まさに動転した──そのひと月前には友人を伴ってお宅にお伺いし,世間話をしたばかりだったのに。
 もう遥か昔になったある日,学部4回生になったばかりの僕はT君と二人で,小さなケーキのはこを下げて,お宅にお邪魔し,歓待されたのだった。その日以来,さまざまな時期に,さまざまな状況で,奥さんと会う機会があったが,いつも穏やかに接していただいた。
 近年は慢性的に体の不調に悩まされておいでだったが,それも若い時分の病気の後遺症あるいは気分的なものとして,かかりつけの医師のケアを受けて対応しておいでだった。それが,隠れていた癌が急に活性化して僅か半月で命を奪うなど信じられるだろうか。しかも継続して医師の診察を受け,その管理下にあったというのに。
 言葉もない。残念だが,今はただ,ご冥福を祈ることしかできない。

 重苦しい気分の中の,品の悪い幕間喜劇。
 授業のために研究室を出ようとする間際に一本の電話。出てみると,「**テレビの『**ビアの泉』のアシスタント」なる女性からの質問。「著名なロシアの性犯罪者にスケベビッチ・オンナスキーという名前の人物が居るという情報は本当でしょうか」。何のつもりで僕の所へこんな質問が来るのか,まったく理解できない。が,「そんな話しは聞いたことがありませんね。だいたい,その人物に名が無いじゃないですか」と。
 それから,スケベビッチ・オンナスキーは父称と姓のつもりだろうが,名が無い,ということは,多分,ロシア人の名前のことなど知らない人間が勝手に作った「名前」だろうと説明をし,最後に,「あまり出来のよくない冗談でしょうね」,と言っておいた。「そうすると,嘘ですか。」「ガセですね。」
 あとでネットを検索してみると,しかし,この種のうわさ話は掃いて捨てるほどにある──ご苦労なことだ。電話をかけてきた番組も当分は「ネタ切れ」になることもなさそうだ。
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by kriminalisto | 2006-05-30 13:27
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