自殺サイト殺人

 インターネットの自殺サイトを利用した連続殺人事件などというものを,誰が想像できただろうか。
 大阪府河内長野市ですでに3人の犠牲者が明らかとなっている前上某の犯罪は,さまざまな意味でわれわれの意表をつくものだった。この事件はわが国の犯罪史に残ることとなるだろう──おそらくは,この種の多様な犯罪の最初のケースとして。
 彼にとって,他人が窒息の恐怖と苦悶にもだえる姿は,何よりも性的な興奮をもたらすという。「男でも女でも,苦しむ顔を見るのがたまらない」,と。
 報道されるところでは,殺害に通じる衝動は中学生時代からとみられ,大阪府警の調べにも「小説の挿絵に,子供が口を押さえられる様子が描かれているのを見て興奮した」と供述。自作のホームページに主人公の自分が他人を窒息させる小説を書き,ネットで入手したグロテスクな写真を掲載していた。また,1995年から2002年にかけては,通行人の口をふさいだとして傷害容疑で3回逮捕されており,実刑判決を受けたこともあった,という。
 この経験に学んだということだろうか,効率の悪い通行人よりは,無防備で都合のよい被害者を求めて,自殺志願者に目をつけた彼が,インターネットの自殺サイトに網を張り始めたのは昨年10月。約2カ月後に知り合った最初の被害者に「一緒に練炭自殺をしませんか」と持ちかけ,「お願いします」と応じられると,練炭や七輪を用意してみせるなど,信用を得るためにさまざまな行動をとり,最終的に殺害に成功している。
 それにしても,「どうせ死ぬんやから夕食を抜いてください」「めばりテープを張る準備がしにくくなるのでつめを切っておいてください」といった,彼が被害者に送ったメールの不気味さは格別だ── まるで『注文の多い料理店』ではないか。

 この種の事件が起きた際にいつも思うことは,人間というものの不思議さと,そのような存在として生かされていることの悲しみだ。だがそれは所詮は個人の感想で,社会は犯罪者の責任を追求し,同種の犯罪の再発を防ぐための確実な措置を声高に求める。そしてそれは「正しい」。
 しかし,問題は,どのようにしてそれらは可能か,ということだ。
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by kriminalisto | 2005-08-08 23:35 | 日記・コラム・つぶやき
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