加古祐二郎の日記

 昨日は東一条の関西日仏学館で講演会:「現代の法とヒューマニズム──加古祐二郎日記と瀧川事件──」,講師は園部逸夫先生。ロマン・ロラン研究所主宰のセミナーの一環ということだが,加古祐二郎とロマン・ロランという一見不思議な取り合わせは,園部先生が加古祐二郎とも,ロマン・ロラン研究者・翻訳家として著名な宮本正清とも姻戚関係にあることで合点がゆく。
 加古祐二郎の日記の存在はよく知られえているし,それを詳細に紹介した『昭和精神史の一断面』(法政大学出版会)も刊行されている。だが,そこには公表されていない様々な記述があり,当時の社会的事件や人物に対しての加古の評価や人間的感情の起伏が記されているであろうことは当然だ。園部先生の話は親しみと尊敬の心情が溢れる,活き活きとしたものだった。学生時代の加古の得意と失意,交友関係,瀧川先生に対する醒めた観察,佐々木先生への失望と引き比べての恒藤・末川両先生に対する尊敬の念など。それにしても,31歳で病死するまでの短期間にあれほどの業績を残しえたほどの研究生命の凝縮には驚嘆するほかない。
 加古日記はこのたび立命館大学の加古文庫に収められることとなった。

 前夜,自宅の書架から加古祐二郎の『近代法の基礎構造』をとりだしてぱらぱらとめくってみた。随所に傍線が引かれ,細かい字で書き込みがされている── よく勉強していたのだ。30年前の自分の姿がそこに見えるようで,おもわず懐かしさの感情におそわれたことだった。
 しかし,思い返してみても,講演会の聴衆はほとんどが年配者で(片岡曻先生,中山研一先生,宮内先生の奥さんなども),若い学生や大学院生らしい姿はまず見えなかった。時代なのだ,と言ってみても,やはりさびしい気持ちに変わりはない。
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by kriminalisto | 2005-01-30 11:56 | 日記・コラム・つぶやき
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